うちはオカメインコを飼っています。
名前はぴーた。ピーピー鳴くからね。。2022年の9月にお迎えしました。
冬のインコの保温はとても頭を悩ます問題です。2年前の2022年の冬は1部屋まるごと暖房してしのいだのですが、エアコン代がとてもかかりました。
そこで次の年、去年の2023年の秋に、鳥かごの外側に保温ケースを自作してみました。
ダンボールとポリカーボネート(透明プラスチック)板で、費用も3000円かからず。
もちろん自己責任で、になりますが、無事に冬も越せたので、こんなアイデアもありますよ、の紹介です。
よかったらお読みください。
インコの保温のおおざっぱな作戦
オカメインコは寒さが本当に苦手。
うちでは冬でも20℃以上になるように管理をしています。
↓2冊本を買って飼い方を勉強しています。
冬に、部屋全体を常に暖かくしておくのはとてもお金がかかります。うちは暖房はエアコンを使っているので、電気代がかかります。
なぜなら、仕事で出かけているときも、夜寝るときも、24時間暖かくしておかなければならないから。
だったら夏の冷房も大変?と思うかもしれませんが、冬のほうが圧倒的に大変です。
エアコンを使用した場合、夏の冷房よりも、冬の暖房を使ったときのほうがお金がかかるからです。
その理由を簡単に説明します。
エアコンという機械は、とてもかんたんに言うと、
- 夏の冷房は部屋の中の熱を部屋の外へ出す仕組み
- 冬の暖房は部屋の外の熱を部屋の中へ入れる仕組み
です。だから、部屋の中と外で温度差が大きいほど、熱の移動が大変になり、電気を使います。
- 夏の外の気温は今は40℃くらい。冷房を使うとだいたい28℃くらいに冷やすのが一般的かな。
- 冬の外の気温は0℃くらい。室内は20℃くらいに暖めるのが普通でしょうか。
そうすると、
- 夏の部屋の内外の温度差は40-28=12℃
- 冬の部屋の内外の温度差は20-0=20℃
2倍近く温度差が違います。電力量も単純に2倍とはいきませんが、それに近い電気代がかかってしまいます。
★エアコンの仕組みについての記事はこちら↓
ではどうしたらいいでしょうか?インコのかごの周りだけ暖めればいいでしょ!というのが、ぱっと思いつくアイデアです。
実際そのような保温ケージを作ったら、暖房を14℃にしても(うちは毎年冬は暖房でこのくらいの温度にしています。ちょっとぜいたくにすると18℃にしたり)鳥のかごの中は、実験上(+8℃で)22℃くらいになるので、私も鳥も、寒さは問題ありませんでした。↓
夜寝るときはこんな感じです。
そういうわけで、2023年の冬は無事越すことができました。(エアコン暖房設定14℃が出来るというのがまず驚いた)
インコの保温ケースの自作、具体的に実施したこと
自作で、段ボールとポリカーボネート板(プラスチック板)で保温カバーを作成しました。
猫にだいぶガジガジされたので曲がってますが、立派にインコちゃんの命を守りました。
値段は次の表の通り。
ポリカーボネート板(3枚) | 2,052円 |
ダンボール | 842円 |
合計 | 2,894円 |
税込み2894円でした。ダンボールはホームセンターで買いましたが、ただでもらってきてもOKです。
私が購入した理由は、大きさがピッタリのダンボールの方が組み立てたときにしっかりしているから。なので気持ち頑丈に作れば、ダンボールはそこらにあるもので大丈夫だと思います。
何かモノを作るときに考えるといいことが3つあります。
それはQとCとDです。
- Q(Quality、クォリティ):品質
- C(Cost、コスト):値段
- D(Delivery、デリバリー):出来上がるまでの時間
例えば牛丼屋さんへ行って”チーズ牛丼大盛り”を頼んだとします。
QとCとDが満たされているとお客さんは満足します。満たされていないと不満になります。こんな感じです↓
あんまり安くしすぎるとお店が大変になるので注意は必要ですが、あくまでQCDが大事という一例です。
今回の制作物はインコの命がかかっているものなので、Qの品質を最優先、Cの値段とDの時間はできるだけ安く、短くで考えてみました。
Qの品質をどのようにして考えたか?ですが、どこかの本に書いてあったわけではありません。オカメインコの朝から夜までの1日を自分なりにイメージしたら、Q(品質)の4つが出てきました。
- 〔保温性〕暖かくしないとインコは風邪引いてしまうから、これは絶対必要。
- 〔重量〕1階行ったり2階行ったり、移動させることがあるので、手で持てること。
- 〔安全性〕ヒーターと保温ケージがくっつくと、燃えてしまう場合があるから注意
- 〔健康維持〕インコは一日に少し日光浴の時間が必要だから、ずっと暗い中はよくない
保温性と重量(ダンボールを選んだ理由)
いちばん大事なのは、保温性。
今回保温ケージを作る一番の目的だからです。
保温するには、保温ケージの中にヒーター(熱源)を入れて、保温ケージを断熱するのが一般的です。
断熱とは熱を通りにくくすること。ここではヒーターで発した熱をなるべく外へ逃さないようにすることです。
こんなイメージ↓
身近な例でいうと、冬寝るときにふとんにくるまって寝ると温かい。
このとき、
- ふとん→断熱性能の高い保温ケージ
- 私の体温→ヒーター
に対応します。なので自分の体温で熱を発して、その熱を逃さないようにふとんにくるまって、「温か~い」と言っているわけです。
さて、保温ケージの検討に戻ると、断熱性の高い材料ってなんでしょうか?
ぱっと思いつくものは・・
- 断熱ガラス
- 発泡スチロール
- ダンボール
などです。
断熱ガラスは家の窓に取り付けてエアコンの冷気や暖気が外へ逃げないように使われるものです。でも値段がとても高いです。
発泡スチロールは、魚屋さんが魚と氷を一緒に入れて遠くへ運ぶときによく使われます。身近な材料なのでどこかでもらってくることも出来ます。
でも発泡スチロールはあきらめました。なぜか?
加工するのが難しいから。あと薄い板状の発泡スチロールは壊れやすいから。
作るときや出来上がりを想像すると、ちょっと難しいかなと断念しました。
ダンボールは、断熱性能高いし、身近にあるし、作るときも切るだけでいいし、モノによっては壊れやすいこともあるけど、猫が突進しなければまず大丈夫なので、この材料に決めました。
ダンボールの断熱性能はとても高いです。
えっ、ただの紙なのに?
そう、紙なのにです。正確には、紙の断熱性能が高いのではなく、ダンボールの構造が断熱性能を高くしています。
ダンボールの断熱性能を高めている物体は、空気です。
熱の伝わりやすさを表す指標に「熱伝導率」というものがあります。数字が高いほど熱が伝わりやすいです。
逆に、数字が小さいほど熱が伝わりにくいです。断熱性能が高いと言い換えることが出来ます。
熱伝導率の例を下の表に示します。
表.熱伝導率の例※
物質 | 熱伝導率[W/(m・℃)] |
鉄 | 35~58 |
銅 | 370 |
アルミニウム | 230 |
木材 | 0.09~0.15 |
フォームポリスチレン | 0.035~0.041 |
空気 | 0.023 |
※『冷凍空調技術』P.44引用
この表を見ると、銅やアルミが一番高いです。銅のスプーンでシチューを食べると手が熱くて食べるのが大変なので存在しないのかもしれません。
アルミのスプーンはあります。手の温度がスプーンを通してアイスに伝わり、アイスの表面が少し溶けるので食べやすいですよ、とうまく熱の伝わりを利用した商品などはありますね。
フォームポリスチレンは発泡スチロールのこと。数値を見るとわかるように、空気も熱伝導率がとても小さい(=熱を通しにくい)ことがわかります。
だから、空気が中に含まれているダンボールは発泡スチロール並みの断熱性能を持っていることがわかります。
でもエアコンで冷えている部屋のドアを開けると、外の熱い空気がすぐに流れてくるよ。熱は伝わりやすいのでは??
★これについては別記事で解説したいと思います。
保温性、安全性、健康維持(ポリカーボネート板を選んだ理由)
外からの日光をオカメインコに当てるには、一部透明な板にすればいいです。
透明な板、というとガラスが思い浮かびますが、値段が高いし、重いし、ちょっと大変です。
もっと身近なものに透明なプラスチックがあります。例えば、
- ペットボトルの容器
- クリアケース(透明なプラスチックの引き出し)
- セロハンテープも透明です
みんな透明なので同じようなのですが、プラスチックの種類が違うため性質もまた異なります。
アマゾンで、”プラスチック板”と検索すると、下表の3種類のプラスチックが出てきたので特性をまとめました。この表はネット情報で調べた数値なので、参考程度に見ていただけたらと思います。
表.プラスチックごとの性質
プラスチックの種類 | 熱伝導率[W/(m℃)] | 温度 | 密度[g/cm3] |
ポリカーボネート | 0.19 | ~180℃ | 1.2 |
ポリ塩化ビニル | 0.16 | ~70℃ | 1.4 |
アクリル | 0.17 | ~80℃ | 1.18 |
まず、熱伝導率はダンボール(空気)よりも高いけれども、銅やアルミのように熱をどんどん通す物質ではないから、3種類のプラスチックともOK。
温度を調べたのは、安全性のため。ヒーターと保温ケージが近づく可能性があるため、(十分に離れる寸法で作ったが)なるべく耐えられる温度が高いほうがいいと思ったためです。この中ではポリカーボネートが一番温度が高いので、第1候補になりました。
重量はさほど変わりませんでした。
アマゾンで調べると、第1候補のポリカーボネート板はそれなりに安く販売していたので、材質はポリカーボネートに決めました。
私が購入したのは300mm×450mm×1mmの大きさ3枚です。当時は1枚あたり税込684円でした。
インコの保温ケースの寸法
材料が決まったので、あとは寸法を決めて制作していけばいいわけです。
- ヒーターは鳥かごの外側へ取り付ける
- ヒーターと保温ケースは接触しないように少し離す
- 保温ケースの正面は取り外しできるようにする(えさや水をあげるため)
- 保温ケースの上面も取り外しできるようにする(鳥かごを保温ケースから出せるようにするため)
に注意して、全体の寸法がわかる図を描いてみます。もちろん紙とえんぴつで手書きで絵と寸法と描くのが一番早いですが、今回は図面っぽく描いてみます。
専用ソフトなどは使わずエクセルを使いました。セルを正方形にして、縦と横の長さを小さくします。すると1マス5mmの方眼紙が出来ました。ここに図と寸法を入れていきましょう。(下図)
- 単位は全部mm(ミリ)です。図面は基本ミリで表記します。
- 正面から見た図を正面図、横から見た図を側面図、あと上から見た平面図といいます。
- ヒーターを鳥かごの外に出しているのは、インコがヒーターの上に乗ってしまうから。一昨年はヒーターがう◯こだらけになってしまいました。インコも熱いしね。
- ポリカーボネート板よりも少し小さい穴を段ボールにあけて(410×260)、重なった部分をガムテープで止めました。
保温ケースの上面と正面は空気がなるべくそとへもれないように、ふたのようにしています。
ずっと密閉状態だとインコがかわいそうなので、たまに空気の入れ替えをしてやったりします。
インコの保温ケースの効果(温度)確認
保温ケースの中と外で温度差がどれくらいになったか、温度測定して効果を確認してみました。
保温ケース内の温度ー保温ケース外の温度=約8℃
でした。
ですから、部屋の温度が14℃のときは保温ケージの中は約22℃、部屋の温度が20℃のときは保温ケージの中は28℃くらいになります。
でも25℃くらいあれば十分なので、ヒーターにサーモスタットを取り付けて、保温ケージの温度が25℃を超えたらヒーターが切れるようにしておきました。
サーモスタットはとても便利で操作も簡単です。ヒーターとコンセントの間につなげて、ダイヤルを回して今回の場合は25℃に設定すればそれで完了。
温度測定は”おんどとり”を使いました。
正直、この測定には過剰スペックです。温度計を2つ保温ケージの中と外において、安定するまでちょっと待てば本来はそれで温度差がわかります。
まぁ、いろいろやりたくなるときってあるじゃないですか?
この”おんどとり”は
- 同時に2カ所の温度を同時に測定することが出来るので、2カ所の温度比較が可能。
- 1秒間隔、1分間隔など自由に時間を指定して、時系列の温度測定ができるので、ほったらかしで計測出来て便利。
- パソコンとつなげてデータをエクセル(CSV)に落とすことが出来るので、グラフ化も簡単に出来る。
というメリットがあります。
下のグラフは、上の保温ケースとは条件が違いますが、鳥小屋内外の温度差のグラフです。鳥小屋の外の温度や時間に関係なく、鳥小屋内はある一定の温度高くなっていることがグラフを見るとよくわかります。
インコの保温アイデアの記事のまとめ
この記事では、
- インコの保温のおおざっぱな作戦
- インコの保温ケースの自作、具体的に実施したこと
- インコの保温ケースの寸法
- インコの保温ケースの効果(温度)確認
について紹介しました。うちの保温ケースの寸法を出しましたが、もちろん鳥かごの寸法が違えば保温ケースの寸法も同じにはなりません。
でも、なぜその寸法にしたか、なぜその材料にしたか、について特に意識して書きました。なので、その”なぜ”がわかれば保温ケースは自作できると思います。
★ 後日談 ★
インコが下痢気味で心配だったので、6月の終わりごろ動物病院へ連れて行きました。
診察してもらったら、夏の初めだったので水をたくさん飲んでそうなったらしく、体調には問題ないようでした。
(本当に下痢だったらやばいそうです)
猫も一緒に飼っていること、インコの保温ケースのことを伝えたら、その獣医さんも猫とインコを飼ったことがあるらしく、アクリルケースを購入して冬場は保温したそうです。
アクリルケースはおすすめで、金額が4~5万と高価ではあるのですが、アクリルケースの上で猫がひなたぼっこして、インコと一緒にいると面白い光景が見れますよ、とアドバイスを頂きました。
お金が貯まれば(笑)、今年の冬はアクリルケースもトライしてみたいと思います。。
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