将棋に全く触れたことがない人が将棋に興味を持ったとき、まず知りたいことの一つに「将棋の駒の読み方」があります。
将棋入門には正式名称が書いてありますが、この記事では実際の会話の中で使う駒の読み方について紹介していきます。
私は将棋を始めて6年目、ネット将棋だけでなく、地方(北陸・関東・中部・関西・九州)の将棋道場やカフェ、東京将棋会館など対面でも指しています。NHK杯やABEMAトーナメントも見ていますので、実際に使われる読み方はよく知っているつもりです。
ぜひ参考にしてみてください。
歩兵・・・ふひょう!
正式名称はその通り、だけど会話では「ふ」でOKよ!
将棋の駒の読み方
将棋の駒の読み方を順番に解説していきます。最初に読み方を一通り掲載しますね。(表1)
表1.将棋の駒の読み方
1 | 歩:ふ | 9 | と金:ときん |
2 | 桂馬:けいま | 10 | 成桂:なりけい |
3 | 香車:きょうしゃ | 11 | 成香:なりきょう |
4 | 金:きん | 12 | ー |
5 | 銀:ぎん | 13 | 成銀:なりぎん |
6 | 角:かく | 14 | 馬:うま |
7 | 飛車:ひしゃ | 15 | 龍:りゅう |
8 | 玉・王:ぎょく・おう | 16 | ー |
正しい読み方だけど、普段の会話では「こんな読み方はあまりしない」も合わせて説明します。
読み方1:歩
・「歩」の読み方ー「ふ」(会話で「ふひょう」とはあまり言わない)
【例文】
- 一歩(いっぷ)が貴重ですね。
- ここに歩(ふ)をたたくと両取りがかかります。(図1)
図1.歩(ふ)をたたく(☗6三歩、☖同金、☗7二銀)
角換わり戦法でよく出てきます。「☗7二銀」を打たれると後手は劣勢になってしまうので、最初の「☗6三歩」を取ることが出来ません。
このように例文を挙げていきますが、棋士の大盤解説会やNHK杯の解説を聞けば自然と覚えていきます。
英語を覚えたければアメリカへ行こう、というのと同じ理屈です!
読み方2:桂馬
・「桂馬」の読み方ー「けいま」「けい」
【例文】
- 桂馬(けいま)がつかまった。
- 桂馬(けいま)の高跳び歩(ふ)の餌食。
- この桂跳ね(けいはね)は、いいタイミングですね。
読み方3:香車
・「香車」の読み方ー「きょうしゃ」「きょう」
【例文】
- 香車(きょうしゃ)をつりあげる。(図2)
「香車をつりあげる」は、図2のように「☗1五歩」、「☖同歩」、「☗1三歩」、「☖同香」。この例では香車を2マス上に移動させています。香車の裏側は駒の利きがないため、持ち駒を打ち込むなどスキを作ることが出来ます。
図2.香車(きょうしゃ)をつりあげる
- 桂香(けいきょう)を拾う
主に居飛車対振り飛車などの対抗形の将棋で、飛車(ひしゃ)・角(かく)などの大駒交換の後に、敵陣にそれぞれ飛車や角を打ち込み、端の桂馬(けいま)・香車(きょうしゃ)を取って、戦力を補充する時に使います。
読み方4:金
・「金」の読み方ー「きん」(会話で「きんしょう」とはあまり言わない)
【例文】
- 頭金(あたまきん)で詰みですね。(図3)
図3.頭金(あたまきん)
これはよく出てくる手筋だよ!
読み方5:銀
・「銀」の読み方ー「ぎん」(会話で「ぎんしょう」とはあまり言わない)
【例文】
- 銀(ぎん)の打ち込みが厳しいね。(図4)
図4.銀の打ち込み
拠点の歩(図4では4四の地点の歩)の先に銀(ぎん)を打ち込んで攻める場面はよく見かけます。
- 棒銀(ぼうぎん)の攻め
棒銀(ぼうぎん)の攻めで行くよ!
・・くっ!銀交換(ぎんこうかん)は避けられないか!
かげろうお銀!
それは『水戸黄門』の由美かおる。ってか古すぎ!
「銀は攻め」「金は守り」が基本です。金の打ち込みが出来るのは2023年に将棋大賞名局賞を受賞した羽生先生くらいではないでしょうか?
読み方6:角
・「角」の読み方ー「かく」(会話で「かくぎょう」とはあまり言わない)
【例文】
- 角(かく)のラインが厳しいですねぇ。
- 角(かく)がにらみをきかせる。
角の斜めの利きは本当に止めにくいです。なぜかというと、角の利きを止めた駒を攻められるとまた困るからです。(図5)
図5.角のナナメのラインを活かした攻め
図5では「☗5五角」の王手に「☖7三銀」と受けた場面ですが、「☗7四歩」とされると、銀は逃げられません。(銀を逃げると王様が取られてしまうため)
歩で銀を取られるのはつらい・・。
読み方7:飛車
・「飛車」の読み方ー「ひしゃ」
【例文】
- 飛車先の歩(ひしゃさきのふ)を突く。でもプロの先生は「しゃさきのふ」と言われます。
解説をよく聞いてみてね!
- 王手飛車(びしゃ)をかけられた!
これは有名ですね。
飛車や角を自分の陣地に打って守りに使うときは
- 自陣飛車(じじんびしゃ)を打つ
- 自陣角(じじんかく)を放つ
などとも言います。
読み方8:王・玉
・「王」の読み方ー「おうさま」「おう」
・「玉」の読み方ー「ぎょく」
【例文】
- 自玉(じぎょく)が攻められて危険です。(自王(じおう)とは言わない)
- 相手玉(ぎょく)は戦場から遠いのでまだ安全です。
- 王手(おうて)する。
- 王様(おうさま)がこっちへ逃げると詰んでしまいますねぇ。※
会話の中で王将・玉将(「おうしょう」「ぎょくしょう」)は駒自体の話をするときはたまに出てきます。
- この王将駒(おうしょうごま)は菱湖書(りょうこしょ)※ですね。
読み方9:と金(歩が裏返ったもの)
・「と金」の読み方ー「ときん」(文字通り「と」とは言わない)
【例文】
- 5三のと金(ときん)が光ってますねえ。
「5三のと金に負けなし」という将棋の格言があります。
読み方10:成桂(桂馬が裏返ったもの)
・「成桂」の読み方ー「なりけい」
【例文】
- 成桂(なりけい)の働きがいいですねぇ。
「成桂」とか、駒が裏返ると「金」と同じ動きをするよ
うん!「馬」と「龍」以外は全部そうね。
読み方11:成香(香車が裏返ったもの)
・「成香」の読み方ー「なりきょう」
【例文】
- 成香(なりきょう)が寄って詰めろ※がかかりましたねぇ。(図6)
第6図(一番上)は、「☗3三成香」と寄った状態が「☗2二金」または「☗3二金」からの詰めろであると言い、相手が気づかないで別の手を指すと、こちらは「☗2二金」または「☗3二金」から相手玉を詰ますことができます。
相手は第6図(真ん中)で「☖1一金」と受けましたが、これは「☗2二金」の詰めろは受けていますが、「☗3二金」の詰めろは受けていないため、「☗3二金」で詰みとなります。
図6.成香(なりきょう)が寄った手は「詰めろ」
受け間違えて詰んじゃったから、さっき習った頓死(とんし)だね。
読み方12:金が裏返ったもの
「金」の裏に文字はなく、裏返して使うことは本将棋ではありません。
回り将棋だと、金を振って使うことはありますね。
読み方13:成銀(銀が裏返ったもの)
・「成銀」の読み方ー「なりぎん」
敵陣に入っても裏返らない銀は、そのまま銀(ぎん)です。
- ☗7一銀不成(ぎんならず)で即詰みですね。銀(ぎん)を取られても頭金(あたまきん)があります。(図7)
図7.銀不成(ぎんならず)からの詰み
銀不成で王手した後に、王様が逃げる手(「☖9二玉」、「☖9三玉」)も即詰み※があります。確認してみてくださいね。
相手に攻撃のスキを与えないで詰ましちゃうんだね。
読み方14:馬(角が裏返ったもの)
・「馬」の読み方ー「うま」(会話で「りゅうま」とはあまり言わない)
プロ棋士の都成先生は、なまえが竜馬(りゅうま)です。
すてき・・ぽっ
(いつもの妄想モード・・)
【例文】
- 馬(うま)が自陣によく利いてますね。
- 攻防の馬(うま)といったところでしょうか?
「馬は自陣に」という将棋の格言もありますね。
読み方15:龍(飛車が裏返ったもの)
・「龍」の読み方ー「りゅう」(会話で「りゅうおう」とはあまり言わない)
【例文】
- 龍(りゅう)の横利きで間の金(きん)は動けません。(図8)
第8図
第8図は龍と玉が同じ二段目にいます。間に金(5二の地点)がいるので王手ではありませんが、間接的に龍が玉をにらんでいます。この状態はかなり怖い状態で、次に先手から「☗5三銀」と攻めると、5二の金は「☖5三同金」も「☖5一金」も出来ません。
金は、嫁と姑に挟まれたお父さんのことかな?
なかなか的確な表現ね。ていうかあんた何見て育ってるのよ!
おまけ(将棋の駒の「大駒」と「小駒」)
大駒(おおごま)と小駒(こごま)について簡単に説明します。
- 大駒は「飛車」と「角」の2種類の駒を指します。
- 小駒は「歩」「桂馬」「香車」「金」「銀」です。
- 「王・玉」は特殊な駒なのでどちらにも入りません。
大駒1枚と小駒2枚を交換することを「二枚替え(にまいがえ)」と言います。
例えば、「飛車」を渡して「金」と「銀」をこちらの持ち駒にするなどです。
基本的には小駒を2枚もらったほうが駒得(こまどく)なのですが、初心者・級位者のうちは飛車は強力なので、なるべく手放さないほうがいいです。
飛車は攻めやすい駒なので大事にしましょう。
角も強力な駒だけど、使い慣れるのはちょっと大変。
将棋の駒の読み方まとめ
この記事では、将棋の駒の読み方を、実際に使われる会話に合わせて紹介しました。
また関連した用語や手筋も紹介したので、ぜひ覚えていってください!
この記事を読んでくださった方は、将棋を始めようかな?という人が多いと思いますので、関連記事も下記に掲載します。どうぞ楽しい将棋Lifeを!
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