この記事では、2023年1~3月に行われた王将戦の日程と結果、将棋大賞「名局賞」を受賞した王将戦第2局の解説をしています。
2023年の王将戦の結果は、藤井聡太王将が4勝2敗で王将位のタイトル防衛となりました。
2023年4月3日に発表された第50回将棋大賞では、「名局賞」にこの王将戦第2局が選ばれました。
羽生九段の打った妙手「8二金」についても解説します。
調査隊出動!
がんばってね!
時期はだいぶ過ぎてしまったのですが、羽生九段が大好きなので、この記事は当面残すつもりです。
王将戦の日程2023と対局結果
2023年の王将戦は令和の怪物(藤井聡太王将)と平成の絶対王者(羽生善治九段)の対局だけあり、一手一手気の抜けない戦いでした。
日程と対局結果を表にまとめました。
王将戦の日程2023と対局場所
対局日程と場所を表1に示します。第1局の掛川が2023年1月から始まり、死闘が繰り広げられました。
表1.王将戦2023の日程・対局場所
日程 | 対局場所 | |
第1局 | 1月8、9日 (日、月祝) |
「掛川城 二の丸茶室」 静岡県掛川市 |
第2局 | 1月21、22日 (土、日) |
「摂津峡花の里温泉 山水館」 大阪府高槻市 |
第3局 | 1月28、29日 (土、日) |
「金沢東急ホテル」 石川県金沢市 |
第4局 | 2月9、10日 (木、金) |
「SORANO HOTEL」 東京都立川市 |
第5局 | 2月25、26日 (土、日) |
「さんべ荘」 島根県大田市 |
第6局 | 3月11、12日 (土、日) |
「大幸園」 佐賀県三養基郡上峰町 |
第7局 | 3月25、26日 (土、日) |
「ホテル花月」 栃木県大田原市 |
王将戦2023の対局結果
王将戦第6局を藤井聡太王将が勝利し、王将位防衛となりました。
羽生善治九段にとってはタイトル通算100期がかかっていたため、残念な結果となりましたが、もの凄い戦いでした。(と解説を聞いてわかりました)
表2.王将戦2023の対局結果
藤井王将 | 羽生九段 | |
第1局 | 〇 | ● |
第2局 | ● | 〇 |
第3局 | 〇 | ● |
第4局 | ● | 〇 |
第5局 | 〇 | ● |
第6局 | 〇防衛 | ● |
第7局 |
「王将戦第2局」が将棋大賞の「名局賞」を受賞
第50回将棋大賞が2023年4月3日に発表され、この王将戦第2局が「名局賞」に選ばれました。
名局賞に選ばれた理由の1つである、「異筋の8二金」について説明します。
この手が指された後、解説者から「すごい手だ…」という声が聞かれたそうです。
理由1:普通は金をこんなところに打たない
羽生九段が指した手は「☗8二金」でした。打った金と藤井王将の玉の位置だけ表示させると第1図のようになります。
第1図.「8二金」と「藤井玉」の位置関係
相手玉を詰ますことが勝利の条件ですから、相手玉の近くを攻めるのが将棋のセオリーです。「8二金」はその真逆であると言えます。
また「とどめは金」と言われますように、玉を詰ますのに重宝される金を中盤で手放してしまうのもセオリーと逆ですので、「異筋の金」とも言われています。
どんな意味があるんだろう?
理由2:放っておくと詰めろ金取りになる
この手を藤井王将が放っておいて別の手を指した場合、次に羽生九段は「詰めろ金取り」をかけることが出来る手でした。
「詰めろ」とは、「もし受けなかったら、即詰み(負け)になりますよ」という手です。
しかし詰めろを受けると、藤井王将は駒(金)をただで取られてしまうので形勢が大きく傾いてしまいます。
そういう狙いが「8二金」にはありました。
理由3:8二金を指した時間
理由の3番目は時間を消費していないことです。
「8二金」を指すのに、羽生九段が消費した時間は0分です。
その次の手を指すのに藤井王将は56分長考に沈みました。(将棋連盟Liveというアプリで確認しています)
羽生九段の大局観と読みからくるものであれば、間違いなく「羽生マジック」ですし、研究範囲だとしたら大変なことになります。
なぜかというと、この手は59手目に指された手だからです。
「ここまで研究をしていたのか!」と思う人もいるでしょうし、「想定される局面を絞って絞ってこの局面になることも予想していたのか!」と感じる方もいると思います。
羽生九段おそるべし!
王将戦の日程2023のまとめ
この記事では
- 王将戦2023の対局結果
- 将棋大賞名局賞:王将戦第2局
を解説しました。
個人的には羽生九段が再度タイトル戦の舞台に上がり、藤井王将との激闘をもう一度(何度も)見てみたいです!
・藤井八冠のゆかりの地を訪ねてみました
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