将棋人口が減っているというニュースを毎年聞きます。
「減っている」と聞くと、どのくらい減っているの?その減り方って予想以上なの?妥当なの?と疑問を持ちます。
そこで、レジャー白書2021と総務省発行の人口統計から30年後の将棋人口を予測してみました。
また、
- その予測と実際の減り具合との差
- 差が生まれた要因
- 今後どうすれば?
についても少し言及してみました。
将棋人口が減るというのは確かに喜ばしくないことです。でも一番良くないのは減っている事実を見ないようにすること。
減っている事実を事実としてちゃんと受け止めれば、じゃあどうすれば増えるのか?に対しての正しい対策をとりやすくなります。
宿題忘れた。なかったことにしちゃえ。ぽい。
こーらー!!
ひいい~~汗
将棋人口の推移30年後は?
まずレジャー白書2021から、将棋人口の年代別・性別の構成比を見てみます。2020年の状態です。(表1)
2020年のデータなので指す将のみと考えて良さそうです。
表1.将棋人口の年代別・性別の構成比(『レジャー白書2021』P.44より抜粋)
男性の合計、女性の合計が100%になりませんが、他の娯楽(囲碁、トランプ、ゲームなど)と兼ね合わせてパーセンテージを出しているためです。
レジャー白書は10~70代のみの統計なので、9才以下と80才以上の方ごめんなさい。
この表を見ると、
- 10代は小学生で、指す機会があるから11.5%と少し高めなのかな(私も学校で指すことありました)
- 40代は、子供の頃に羽生先生が七冠達成しているから将棋に興味ある人多いのかな?
- 60、70代は縁台将棋があるほど盛んだったから割合が高いのかな?
など予想ができます。
さて、30年後(2050年)はどうなるのか?
まず単純に表1のパーセンテージがスライドします。(そんなに厳密には計算していないのでご了承ください)
表2
10~30代はこれまでのパーセンテージと同じと仮定します。
表3
これでざっくりと2050年の年齢・性別ごとの将棋参加率が出ました。
これに加えて、日本の人口も30年後は減りますから、総務省発行の人口統計と出生率から各年代の人口を予測して、
各年代の人口[人]×将棋参加率[%]=各年代の将棋参加人口を計算しました。
表4.各年代・性別の将棋人口30年後の予測
2020年の将棋人口は530万人なのでちょっと誤差ありますが、30年後との比率を見たのでまあいいかなと思います。
この結果から、将棋人口は448÷577×100=78%と計算でき、2050年の将棋人口は2020年の将棋人口より22%減る(78%になる)ということがわかります。
この推測は、
- 将棋の世代が30年変わって、年代ごとの将棋参加率が変化したこと
- 年代そのものの人口の変化
の要因を入れています。
ところが実際の将棋人口の減り具合はこんな感じです。予想よりも全然減り方がすごい。
図1.計算した将棋人口と毎年発表の実際の将棋人口の比較
上記2つ以外にも減る要因があるのだと思います。
将棋人口が減る要因
他に将棋人口が減る要因ですが、以下はデータはありませんが、学童や子どもの家庭教師をしていて感じることを書きます。
筆頭に挙げられるのは、将棋以外の娯楽が昔と比べたら比較にならないほど沢山あるからだと思っています。
- ゲーム
- アニメ
- ユーチューブ
- TikTokなどのSNS
これらにシェアを奪われていると考えています。
マーケティングの考え方、例えばSWOT分析だとかいろいろあるけれども、例えば競合をゲームという市場とした場合、勝てる(シェアを奪い返す)要素が今のところ私には思いつかないです。
だってフォートナイトとかスプラ結構面白いし、ゲーム市場内の競争で面白くさせる要素を開発者があれもこれも織り込んでいますから。
ただし、ゲーム依存症などの悪影響も見られてはいますけどね。
この先どうしたらいい?と将棋の良さについて
将棋は個人競技だから、指す将の中にはどうしても周りの人と協力して何かを成し遂げることが苦手な人が多いのかもしれないです。(私の勝手な意見です)
でももし将棋をもっと普及させたいと思うのなら、外の世界(他の業界も)よく見て、幅広く意見を受け入れて、いろんな人と協力することが大事だと思います。
将棋は地道に努力して結果が得られるものだから、とても社会に出てプラスになると思います。
結果を得るためには相応の努力が必要ということを身を持って知るからです。
最近、異世界転生モノのアニメがとても多いです。主人公は最初から強く、敵を鼻でけちらしていきます。
努力するという重要な要素を取り払っているから、私はとても嫌いなジャンルです。
なぜ異世界転生モノのアニメが共感されるのかというと、人間は楽して結果が欲しい(勝ちたい)生き物だから、と私は考察しています。ソフト指しもそれに似た考えがあるとも思っています。
でも実際の人生ではそうはいきません。
結果を得るにはそれなりの代償(努力)が必要。勉強も一緒。
楽して受験なんて乗り越えられない。
地道な努力を継続しないと合格できない。
努力するという経験をたくさん積んで欲しいと私は思っています。大人になって嫌なことから逃げてばかりいたらそもそも生活が出来なくなります。
今から努力する練習をして欲しい。勉強なり、将棋なり。そしたら大人になって壁にぶち当たっても、忍耐・努力すればそれなりに乗り越えられます。(大人の場合は逃げたほうがいい場合もありますが…)
そういう意味で将棋の普及は応援しています。
将棋を普及したい人がいるならば、盤面の指し手を読むのもいいですが、次の世代にどう伝えるか?そっちの指し手もしっかり読んでほしいです。
加えて相手の気持ちを汲む手も読んでほしいです。
将棋人口の推移のまとめ
この記事のまとめです。
- 将棋人口は参加率や日本の人口の減り具合を加味してもずっと減少している
- その他の要因としては、将棋以外の娯楽にシェアを奪われているからと考えている
- 将棋は生きる上でもとても大切なことを教えているから、みんなで協力して普及していこうよ
時代の流れには逆らえないですが、何かしらいい一手があるような気がしてなりません。あるのにやらずに見過ごしていくのでは、それはとても悲しいことですね。
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