将棋で「最初の一手目の最善手は何か?」という疑問にお答えする記事です。
最初の一手のおすすめは2つあります。それはプロアマ問わず、将棋で最もよく指されている最善手です。
- 飛車先の歩を突く
- 角道をあける
の2つです。
2つの手の意味と狙いを解説していきます。初心者向けに書いていますので、一手一手解説するようにしました。
初手何から指したらいいかわからないんだよな~。
藤井聡太竜王の一手目も「飛車先の歩を突く」よ。覚えておいてね!
それに関連して、序盤の角交換が大嫌いだった私が編み出した(?)「一歩損角換わり阻止戦法」を紹介します。(もちろん初心者・級位者向けです)
序盤の角交換は乱戦になりやすいので、乱戦を避けたい方にはおすすめ?です。
それでは、いってみよ~!
一手目の最善手1:飛車先の歩を突く
一手目の最善手その1は飛車先の歩を突くことです。
飛車先の歩とは、飛車の1つ前の歩のことです。先手なら2七の地点、後手なら8三の地点ですね。(第1図)
第1図.飛車先の歩の場所
この歩を前進させます。この手の意味は2つ理由があります。
- 飛車を活用できるようになる
- 弱点である角頭を攻めることが出来る
それぞれ説明していきます。
理由1:飛車を活用できるようになる
飛車はたて・よこ自由に進める強力な駒ですが、味方の駒がいるとそれを飛び越えて進むことは出来ません。飛車の前の歩を前進させるのが飛車を活用する一手です。
一手進めてみましょう。(第2図)
第2図.飛車先の歩を一つ進める
さらにもう一つ進めると第3図のようになります。
飛車の動ける範囲が広がっていくのがわかるわね。
第3図.歩をもう一つ進める
理由2:弱点である角頭(かくとう)を攻めることが出来る
角頭とは角の一つ前のマスのことです。(第4図)
第4図.角頭の場所
なぜ角頭が弱点になるのかというと、初期配置では角の前の歩を誰も守っていないからです。
第3図を再掲します。
第3図(再掲)
このあと、相手は7一の銀を動かしました。こちらは飛車先の歩を進めます。
歩と歩がぶつかりました。(第5図)
第5図.歩がぶつかる
駒と駒がぶつかったとき、手番が自分の番だったらその駒を取ることが出来ます。(第6図)
第6図.歩を取る
歩が取られて一見損したように思いますが、飛車が連携していますので今度はこちらの番で歩を取り返すことが出来ます。(第7図)
第7図.歩を取り返す
歩と歩の交換だから、損得がないように思いますが、実はこの局面はこちら側が大優勢です。
理由は、この後に飛車を成って龍を作る手(第8図)と、角頭に歩を打つ手(第9図)があり、相手は両方を完全に防ぐことが出来ないからです。
第8図.飛車を成る手・・龍(りゅう)ができる
第9図.歩を打つ手・・角を取ることができる
一気に有利になったね!事前に防ぐにはどうしたらいいんだろう?
よって飛車先の歩をお互いに突いたら、角頭を金で守っておくのが良い手です。(第10図)
図10.角頭を金で守る
角頭の歩が金で守られているので、先ほどのような結果にはなりません。
一手目の最善手2:角道(かくみち)をあける
一手目の最善手その2は角道をあけることです。
角道をあけるとは、角のナナメ前の歩を前進させることをいいます。(第11図)
第11図.角道をあける
この手はなぜ良いのでしょうか?これも2つ理由があります。
- 角が相手陣地をにらむ
- 角頭を守ることができる
以下、理由を説明していきます。
理由1:角が相手陣地をにらむ
飛車の場合は歩を数手進めなければ敵陣をにらむことが出来ませんでした。
ところが、角の場合は一手歩を前進させるだけで、敵陣までにらみを利かすことが出来ます。
すぐに敵陣を突破することは出来ませんが、スキを見せたら成り込むぞとプレッシャーをかけることが出来ます。
理由2:角頭を守ることができる
先ほど説明した「飛車先の歩を突く」で、「角頭を金で守る」ことも良い手であると説明しました。
実は角自身でも守ることが出来ます。正確には角頭の1マス前の地点で受けます。
以下具体的に見ていきましょう。
相手がまず飛車先の歩を突いてきました。(第12図)
(先手後手逆ですが、符号はこのままの説明でいきます)
第12図.飛車先の歩を突く(相手・1手目)
こちらは角道をあけます。(第13図)
第13図.角道をあける(私・2手目)
相手はさらにもう一つ歩を突いてきました。(第14図)
第14図.飛車先の歩を突く(相手・3手目)
このときこちら側は角をナナメ上に1つ上がります。これで飛車先の突破を防ぐことが出来ます。(第15図)
第15図.角をナナメ上に1つ上がる(私・4手目)
金で角頭の歩を守った時と意味合いが少し異なります。もう一つ上のマス(ここでは8六の地点)で迎え撃っているので相手は歩の交換もできません。
駒の連携は、将棋においてとても重要な考え方です。実際に指して体感するのが一番理解が速いと思います。
まとめるとポイントは2つです。角道を開けることで
- 角が相手陣地をにらむ
- 角頭を守ることができる
という利点があります。
一歩損角換わり阻止戦法
一手目の最善手、2番目に「角道をあける」を挙げましたが、この場合角交換になりやすいです。
私は角交換が嫌だったので、角交換を拒否するにはどうすれば?を考えて出てきた序盤の角換わりをさせない振り飛車戦法を紹介します。
もし私が先手番なら☗7六歩(角道あける)、☖3四歩(角道あける)、☗6六歩(角道止める)で角交換を阻止できます。
私が後手番の場合は、先手が先に☗7六歩(角道あける)、私☖3四歩(角道あける)、☗2二角成!と角交換されることがありました。
そのあと乱戦に持ち込まれることが多く、角交換に苦手意識があったためこの戦法を思いつきました。
次のような手順です。先後逆の盤面で2手ずつ指していきます。
相手:☗7六歩、私:☖4二飛(第16図)。最初に四間飛車にします。
第16図
相手:☗2六歩、私:☖4四歩(第17図)。飛車のたての利きを使って4筋で角道を止めます。
第17図
相手:☗2五歩、私:☖3二銀(第18図)。銀の進出とともに角頭の歩を守ります。先ほど「金で角頭を守る」方法を紹介しましたが要領は同じです。
第18図
相手:☗2四歩、私:☖同歩(第19図)。相手が歩の交換をしてきたので応じます。
第19図
相手:☗2四同飛、私:☖2三歩(第20図)。歩を打って飛車を追い返します。
第20図
相手:☗2八飛、私:☖3四歩(第21図)。ここでようやく角道をあけます。
第21図
あとは3三に角を上がって、美濃囲いに囲っていけば穏やかな序盤が迎えられます。
3二の銀が動くと2三飛成!とされるので、そこは注意!
3三に角を上がった後、☖4五歩で角交換に持ち込むか、(第22図)
2四の歩も突いて銀を上がって向かい飛車にして逆襲する、などの攻め方があります。(第23図)
第22図.☖4五歩(美濃囲いは省略しています)
第23図.☖2四歩を突いて2筋に飛車を振り直す(美濃囲いは省略しています)
「将棋の最初の一手目の最善手」のまとめ
この記事では、将棋の一手目の最善手は何か?とその理由について解説しました。
- 一手目の最善手その1:飛車先の歩を突く
理由1:飛車を活用できるようになる
理由2:弱点である相手の角頭を攻めることが出来る - 一手目の最善手その2:角道をあける
理由1:角が敵陣地をにらむ
理由2:角頭を守ることができる
良い指し手には必ず狙いがあります。
ただ指し方を丸暗記するよりも、「なぜその手を指すのか?」を理解しながら覚えると、上達がとても早いし応用もきくようになります。
ぜひそんな視点でも将棋をエンジョイしてくださいね。
もし早速やってみようかな?と思った方はこちらの記事も読んでみてください。
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